2023年9月14日Netflixで配信開始されたオリジナル映画『赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。』。
原作は青柳碧人の同名推理小説。
監督は福田雄一、主演は橋本環奈さんほか豪華キャスト。
期待に胸をふくらませ、わくわくしながら鑑賞した人は多いと思います。
ですが、2023年9月28日現在、映画.comの評価は5点満点中2,9、Googleユーザーで高評価したのは75%というやや残念な数字です。
どうしてこんなことになったのか?
この記事ではその理由を考察したいと思います。
原作小説『赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。』の概要
原作『赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。』の評価は?
「そもそも、原作は面白いの?」
そんな疑問を持つ方がいらっしゃると思います。
原作者 青柳碧人は多くのシリーズを抱えている人気推理小説作家。
昔話を題材にした前作『むかしむかしあるところに、死体がありました。』は週刊文春ミステリーベスト10の第7位、2020年本格ミステリ・ベスト10の第9位にランクインしています。
また、『赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。』は評価が厳しいことで知られるAmazonレビューでも5点満点中4,2点をたたき出しています。
この数字は「かなり面白い」お墨付きをもらったようなもの。
続編も刊行されています。
原作はコミカライズされていますし、人気・内容共に問題ありません。
童話より年長で、たくましい探偵赤ずきんは、ファンの心をつかんでいます。
『赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。』は連作短編集
『赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。』は本のタイトル。
今回映画化された話は「ガラスの靴の共犯者」です。
この本は全部で4編の短編からなっています。
- 第1章「ガラスの靴の共犯者」
- 第2章「甘い密室の崩壊」
- 第3章「眠れる森の秘密たち」
- 最終章「少女よ、野望のマッチを灯せ」
シンデレラ、ヘンゼルとグレーテル、眠れる森の美女、マッチ売りの少女が元ネタですね。
「マッチ売りの少女」は昔話ではなくアンデルセン童話ですが、そこは突っ込まずにおきましょう。
探偵となる赤ずきんが1つずつ事件を解決していき、ラストで全編を通じた大きな謎がわかるという型。
昔は創元推理文庫の得意技とされていたタイプの連作短編集ですね。
Netflix映画『赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。』の概要
『赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。』のキャスト
主演の赤ずきんは橋本環奈さん。
シンデレラは新木優子さん、魔法使いバーバラはキムラ緑子さん、魔法使いテクラは桐谷美玲さん、王子様は岩田剛典さん、王様は佐藤二朗さん、シンデレラの継母は真矢ミキさん。
適材適所、絶妙なキャスティングですね。
『赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。』のあらすじ
旅の途中で魔法使いバーバラに出会い、靴を泥だらけにされた赤ずきん。
川で靴を洗っていたところ、手が滑って流してしまいます。
あきらめて森を歩いていた赤ずきんは、粗末な身なりの少女が自分の靴をはいているのを発見します。
彼女の名前はシンデレラ。
継母や義理の姉妹からいじめを受け、靴を奪われたと話します。
赤ずきんとシンデレラは魔法使いの術でドレスや馬車、ガラスの靴を手に入れますが、ふたりが乗った馬車は舞踏会へ行く途中で死体をひいてしまいます。
「外見の美」至上主義の国で繰り広げられる推理劇の行方はいかに?
原作とNetflix映画『赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。』の相違点と惜しいところ
短編を2時間映画にするのですからストーリーはかなりふくらませる必要があったでしょう。
物語の舞台設定はずいぶん、変えられています。
その変更点が、原作の持つ世界観と合致していないな、と思いました。
ダークでブラックな話を、「むかしばなし」としてさらっと流すのが原作の魅力。
そこを薄めているのですね。
また、演出に遊びがちりばめられ、無駄が多い印象を受けました。
原作は昔話らしく、テンポよく進むので映画版は冗長で退屈に感じられるのが残念。
ラストまで見ることができたのはお金がかかったセット、質が高いCG、豪華な出演者、美しい衣装があるから。
橋本環奈さんの赤ずきんは文句なくかわいいですし、桐谷美玲さんの魔法使いはまるで妖精。
豪華なドレス、幻想的なお城、森の様子、魔法でできたかぼちゃの馬車やネズミの従者は見ていて楽しめました。これはNetflixならではのクオリティですね。
かわいい、きれいな女優さんが着飾った姿を見るのが好きな人には楽しめると思います。
まとめ
Netflix『赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。』は、原作からの変更点が多く、遊びの多さが冗漫な印象を与える作品。
Netflixならではの資金力に支えられた豪華セット、CG、きれいな女優さんのドレス姿が好きな人には楽しめると思います。