2023年10月6日金曜日から全国で上映されている映画『アナログ』。
ビートたけしさん初の書下ろし恋愛小説を、二宮和也さんと波瑠さんを迎えて映画化した話題作です。
ある調査では満足評価が94%ですから、評判は上々ですね。
今回は映画『アナログ』の魅力に迫りたいと思います。
映画『アナログ』の概要
監督はタカハタ秀太。
佐藤正午原作の映画『鳩の撃退法』でもメガホンをとった監督さんです。
二宮和也さんとはドラマ『赤めだか』でも一緒にお仕事をしていますね。
脚本は港岳彦。
室生犀星原作の映画『蜜のあわれ』や『あゝ、荒野』、『宮本から君へ』などを手がけています。
主演の二宮和也さんは子供時代から演技力が認められ、厳しい指導で知られる蜷川幸雄監督の映画や、クリントイーストウッド作品にも出演している実力派。
ヒロインの波瑠さんはNHK連続テレビ小説で主演をした女優さんですから、手堅い布陣ですね。
その他のキャストは桐谷健太さん、坂井真紀さん、浜野健太さん、藤原丈一郎さん、佐津川愛美さん。
映画『アナログ』のあらすじ
水島悟は、30代のインテリアデザイナー。
女手ひとつで水島を育ててくれた気丈な母親は施設に入り、友人たちとバカ話をするごくありふれた毎日を送っていました。
ある日、水島は自分がデザインした喫茶店「ピアノ」で美しい女性と出会います。
彼女の名前はみゆきさん。
お店の雰囲気や内装が好き、という彼女に水島は自分の職業を打ち明け、あっという間に距離を縮めます。
このご時世に珍しく携帯電話を持たないみゆきさんは「会いたい気持ちがあればきっと会える」を信条としています。
ふたりはあえて連絡先を交換せず、毎週木曜日に「ピアノ」で会うことに。
デジタル社会に、かなりアナログな恋が始まります。
価値観が似ている者同士、話が弾み、お互いへの気持ちは盛り上がる一方。
ある日、プロポーズをしようとした水島ですが、その日を境にみゆきさんは姿をくらましてしまいます―。
男女の愛、家族の愛、友情をリリカルに描いた大人のラブストーリーです。
映画『アナログ』原作との違い
原作はビートたけしさんが2017年に書き下ろした小説で、現在は集英社から文庫本で販売されています。
映画版はおおむね、原作に忠実ですが、大きな違いは下ネタ・風俗ネタを省いているところ。
ビートたけしさんは本を出版する際に「北野武名義」と「ビートたけし名義」を明確に分けています。
この本はビートたけし名義だけあった、水島の友人たちが漫才のような掛け合いを繰り広げ、そこが売りのひとつになっていますね。
ギャグがおもしろいかどうかはユーモアセンスと世代によると思いますが、往年のツービートをほうふつとさせることは確か。
映画版はその部分を省き、水島とみゆきの恋愛、親子の愛情、友情にフォーカスしてとてもきれいにまとめていますね。
ビートたけしさんはとても頭のよい方なので、物語があまりにも美しく「綺麗ごと」にならないよう、バランスをとっていたのだと思います。
光のある所には影ができるように、陰と陽は調和している状態がのぞましい。
優れた小説は「ハレ」と「ケガレ」が絶妙に混ざり合っているものです。
映画を作る際には映画史における自分の立ち位置を見定めているたけしさん。
小説を書くときにも、調和を意識していると思います。
ですが、二宮和也さん・波瑠さんが演じるとなると品よくしあげて正解だったという印象を受けました。
お二人とも、透明感があって「現代のおとぎ話」に向いている俳優さんですよね。
お肌がすべすべで、泣き顔もきれい。
ピュアなラブストーリーにぴったりです。
このあたりが映画成功の理由があると思いますね。
まとめ
映画『アナログ』はデジタル化社会ではめずらしいアナログな恋愛を描いたラブストーリー。
原作よりもやや「きれいなお話」に仕上がっています。
主演の二宮和也さん、ヒロインの波瑠さんのイメージにぴったりで、さわやかな作品ですね。
ストーリーは好き嫌いがわかれると思いますが、おふたりの演技は圧巻。
「さすが」の一言です。
興味のある方はぜひ、映画館でどうぞ。