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ちょっぴり怖い!?ホラーテイストミステリーのおすすめ【夏定番】

まだまだ暑い日が続きますね。

夏といえば、怪談。

怖い話を聞いて暑気払いをする風習は昔からあります。

縁日のお化け屋敷、林間学校の肝試し。

1970〜1990年代には「まんが日本昔ばなし」でも怪談が放送されてましたね。

といっても、普段「怖い話」に接していない方が、いきなりホラー小説に触れるのは心理的なハードルが高いでしょう。

平山夢明、道尾秀介、三津田信三、有栖川有栖、貴志祐介には名作がありますが、表紙や本の厚さに尻込みする方は多いと思います。

そんな「読みやすさ」「ちょっぴり怖い」を求める方には「ホラーテイストミステリー」がぴったりです。

謎解きのおもしろさと怪奇が融合し、独特の世界観を作り上げていて、しかも読後感はあっさりしている―。

今回は女性作家に焦点を絞り、読みやすい作品をご紹介したいと思います。

キャラクターの魅力、明暗のバランス、手に汗握るストーリー展開。

一度読み始めると、はまること間違いなしです。

目次

小野不由美 ゴーストハントシリーズ

『屍鬼』『十二国記』で有名な小野不由美。

彼女が最初に手がけたシリーズがゴーストハントシリーズです。

旧タイトルにちなんで「悪霊シリーズ」とも呼ばれていますね。

1989年発表でやや古い小説ですが、アニメ化・漫画化された人気作です。

全8巻。

  • 『ゴーストハント 旧校舎怪談』
  • 『ゴーストハント2 人形の檻』
  • 『ゴーストハント3 乙女ノ祈り』
  • 『ゴーストハント4 死霊遊戯』
  • 『ゴーストハント5 鮮血の迷宮』
  • 『ゴーストハント6 海からくるもの』
  • 『ゴーストハント7 扉を開けて』
  • 『ゴーストハント8 悪夢が棲む家』

『ゴーストハント8 悪夢の棲む家』は三人称で書かれているため、シリーズ続編という扱いになっています。

過去作なので版元が変わったり、改稿されたり、混沌としていましたが、角川文庫からの再販が決まり入手しやすくなりました。

現在、7巻までが刊行されています。

明るく平凡な女子高生 谷山麻衣が、ハプニングから渋谷サイキックリサーチという心霊現象を専門にした調査事務所でアルバイトすることに。

不愛想なイケメン青年 渋谷一也や個性的な霊能力者たちとともに事件を解決するストーリー。

個々の事件を追いながら、渋谷一也の素性や彼の家族にまつわる秘密が徐々に明かされる趣向で恋愛要素も絡みます。

小野不由美らしいオカルトや歴史の知識がちりばめられていて、少女向けに書かれたとは思えないクオリティになっているのはさすがですね。

取り扱う事件はおどろおどろしく陰惨ですが、キャラクターの明るさに救われる作品。

のちの同系統作品に多大な影響を与えた、記念碑的なシリーズです。

櫛木理宇 ホーンテッドキャンパスシリーズ

阿部サダヲ主演で映画化された『死刑にいたる病』や『殺人依存症』などシリアルキラーの異常心理を描かせると他の追随を許さない櫛木理宇。

新潟県出身の作家です。

彼女のデビュー作が『ホーンテッド・キャンパス』。

2016年に中山優馬主演で映画化されています。

2023年8月現在、21巻まで刊行されている人気シリーズで、累計発行部数150万部を突破。

架空の国立大学 雪越大学オカルト研究会に所属する八神森司を中心に、ユニークな面々が活躍するホラー色の強いミステリーです。

オカルトはもちろん、歴史や民俗学に造詣が深い部長の黒沼麟太郎、その従兄弟で大柄なイケメンの黒沼泉水、長身の美女 三田村藍、関西弁をあやつる美青年の鈴木瑠依、大学でも有名な美少女である灘こよみ。

オカルト研究会に持ち込まれる怪奇現象を解決する1話完結型の体裁ですが、八神と灘こよみのラブストーリーが縦軸になっています。

事件が暗く、重く、オカルト色が強めても読後感が明るいのはふたりのなかなか進まない恋模様があればこそ。

私は時々現れる新潟の日常生活がおもしろいですね。

好きなおにぎりの具は何か?で盛り上がる場面がありましたが、「すじこ」おにぎりが市販されているのは新潟・山形・北海道くらいなんですよね。

カレーが食べたくなったら蕎麦屋、雪かきで家族がぎっくり腰など新潟に住んだことのある人なら思わずにんまりするエピソード満載です。

森司が披露する大学生の手抜きレシピも現実味があって真似してみたくなりますよ。

竹村優希『丸の内で就職したら、幽霊物件担当でした。』

2023年8月現在14巻刊行されている人気シリーズ。

漫画化されています。

丸の内にある不動産会社で面接を受けた主人公 新垣澪は幽霊が見える体質を理由に「第6物件管理部」に配属されます。

そこは心理的瑕疵物件(いわゆる事故物件)を、利用可能な状態に戻す使命を負った部署。

イケメン御曹司 長崎次郎のもとで、幽霊相手に悪戦苦闘するヒロインを描いた作品です。

超がつくほど優秀なSEの溝口晃、エリート紳士の高木正史、軽薄なのに優秀なエージェント伊原充、イギリスホテルチェーンの御曹司リアム・ウェズリー、本名さえ明かせないほど大物の娘 宮川沙良などまるで一条ゆかりの漫画『有閑倶楽部』なみの顔ぶれ。

ツッコミどころ満載ですが、そこがまたいい。

「この作者、きっと陰陽師が好きなんだな」と思わせるほど、お札(おふだ)や式神、結界などの言葉が出てきます。

イケメン・美女・セレブがたくさん出てくる、ファンタジー要素が強いストーリー。

長崎次郎が兄の行方を追うところは小野不由美の『ゴーストハント』を思わせますね。

事故物件という、近年注目されているキーワードを扱っているところがキャッチ―。

澪のペット、犬の幽霊マメなどファンサービスに余念がないシリーズです。

事故物件・なぜか人に好かれるヒロイン・イケメン・セレブ・壮絶な過去・かわいいペットなど興味を引く要素をこれでもか、と詰め込むあざとさが逆にいさぎよくて清々しい印象を与えますね。

まとめ

3シリーズに共通して言えるのは女性特有の鋭い人間観察力。

時々、娯楽要素が強いシリーズにもかかわらずどきっとするほど厳しい場面があり、身につまされますね。

イケメン・美人ぞろいのキャラクターや御曹司・セレブが出てきても、人間関係から来る悩みやストレス、負の感情をリアルに描くことで大人が読んでも楽しめる作品に仕上がっています。

ちょっと怖いものが読みたいときに最適。

ぜひ、手に取ってみてくださいね。

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